フェラーリのマンション

ミラノは急に寒くなり外出時はダウンコートが手放せなくなりましたが、庭を均しているうちに汗ばんできて、ついにはTシャツ1枚になってしまいます。
ピアノの練習や作曲の作業と同じで、だんだん気持ちが集中して作業がリズムに乗ってくるのですが、そうするとフェラーリが通りがかるのです。

「チャオ、アキ、頑張ってるね」「おー、、、そろそろ種をまくのかな?なんの種をまくの?来年の春が楽しみだね。」

彼の手がけたこの新築マンションと数件のテラスハウスは、まだどうやら作業がいくらか残っているらしく、マンションの上の階には建築事務所があり、しょっちゅうフェラーリがやってくるのです。

e0056670_9362458.jpg写真はその高層マンション。このあたりは背の高いマンションはあまりないし、デザインもナビリオ運河の町並みの地味な色合いのなかでは、かなり目立ちます。タクシーの運転手さんに「橋の横の新しいマンション」といえば通じます。このマンションの脇に二階建てのテラスハウスが何軒か並んでいて、その端っこが私たちの部屋です。私たちの借りているところは、フェラーリが息子のために作った家ですから、そこだけが庭が異常に広いのです。数年の約束で借りているのですが、内心この広い庭をもてあまして、フェラーリジュニアがここに入居するのを嫌がって、私たちが延々と住むことになるのではないか??と思っちゃったりするのですが、本当に庭が公園ほどあって大変です。


家のことも庭のことも放り出して、控えている本番の譜読みの山を片付けたいところですが、そんな事情でいつ何時建築家がお茶を飲みに来るかも分からない。おまけにここの庭は外から丸見え、高層マンションの上からご婦人たちが、「あら、随分お庭が奇麗になったわね!」などと声をかけてきてりするので、家の中も外も、放り出すわけに行きません。庭も丸見えだけど部屋も丸見え。居間の横は全面ガラスなのですが、建築家の意図によりカーテンレールなし。フェラーリの理想の建築は、この開いた空間、人がいつでも出入りし、音楽と光にあふれた空間、なのでしょうね。

そんなわけで、どんなに修羅場でも居間に楽譜が散乱しているとか、郵便が散乱しているとか、パジャマのまま譜読みをしているとか、日本で暮らしているときのようなわけにはいかなくなっちゃいました。


さて、そのフェラーリ、ミラノの名の知れた音楽家なら彼のご自宅に呼ばれて演奏した経験があることでしょう。ポリー二も、カニーノも、彼の自宅でのコンサートシリーズに登場しています。彼も素敵なチェロを弾くということは以前の日記にも書きましたが、ふとしたことから、彼の先祖、遠い親戚が作曲家のレオーネ・シニガーリアだということが分かったのです。フェラーリと相談して、来年早々に、私たちはこの作曲家の作品を並べた演奏会を企画することになりました。
日本では殆ど知られていないシニガーリアですが、その紹介はまた今度。
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by kuroakinet | 2006-11-21 09:55 | ミラノ日記
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