皆さんはどんな一ヶ月をお過ごしでしたか。この季節、学生のみなさんは受験勉強、練習などに追われたりしているころではないでしょうか。そんな時、とかく気持ちが硬くなってしまいがちですが、どうか音楽の喜びをめいっぱい振りまいて乗りこえてくださいね。かくいうわたしも、今から5年ほど前、しゃにむに続けていた演奏活動に、転機が訪れたことがあります。チェロの藤原真理さんにお誘いをうけ、イタリアの音楽祭に参加して、美しいガルダ湖のほとりで出会ったのが、ブルーノ・メッツェーナ先生でした。大学時代から憧れていたミケランジェリの響きやペダルのゆらめきが、高弟だったメッツェーナ先生の手から見事に紡ぎだされるのに、ただ、ため息が出るばかりでした。流行など一向に無関心で、仙人のように穏やかなレッスンを受けるうち、いつしか、一からやり直したい気持ちにとらわれていました。 ガルダの音楽祭で知り合い、後に大切な友人となったのが、もう一人のマリさん。ジュリアード音楽院を卒業して、ニューヨークで演奏活動をしていたのに、メッツェーナ先生の音楽に魅了され、南イタリアの海辺の街ぺスカ-ラに移り住んでしまった、意志の強い、それでいてチャーミングな女性です。あの夏以降、数カ月おきにぺスカ-ラを訪れては、マリさん宅にお世話になりながら、メッツェーナ先生のレッスンを受けることになりました。陽が暮れると、テラスで目の前の大きな月を仰ぎながら、お互いの風変わりな人生に赤ワインで乾杯しました。そうして、いつしかイタリアに縁が深くなり、ミラノに住みつくまでになってしまったのです。ミラノからペスカーラまで、電車で6時間ほど。車窓いっぱいにひろがる、真っ青のアドリア海をながめていると、初めてイタリアで先生や新しい友達に出会ったころの新鮮なときめきを思い出します。あの、ガルダ湖にそびえていた絶壁も、うつくしい蒼に映えていました。
by kuroakinet
| 2006-02-04 05:10
| 月刊ショパン
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黒田亜樹(piano)
東京芸術大学卒業後、イタリア・ペスカーラ音楽院高等課程を最高位修了。 フランス音楽コンクール優勝。ジローナ20世紀音楽コンクール現代作品特別賞受賞。現代音楽演奏コンクール優勝、朝日現代音楽賞受賞。卓越した技術と鋭い感性は作曲家からの信頼も高く、「ISCM世界音楽の日々」「現代の音楽展」「サントリーサマーフェスティバル」「B→Cバッハからコンテンポラリー」など、主要な現代音楽演奏会にて内外作品の初演を多数手がける。ビクターより「タンゴ・プレリュード」「タンゴ2000」をリリース。タンゴの本質を捉えた表現と大胆なアレンジは各方面で注目された。2013年にはバンドネオン奏者の小松亮太氏とともにピアソラ作曲オペラ『ブエノスアイレスのマリア』を、ピアソラ元夫人で歌手のアメリータ・バタールを迎え完全上演し話題を呼んだ。国外ではサルデーニャのSpazioMusica現代音楽祭でブソッティ作品の初演、パルマのレッジョ劇場でキース・エマーソンの代表作「タルカス」を現代作品として蘇演、シチリアのエトネ音楽祭出演などイタリアを中心に活動。 作曲家・植松伸夫と浜渦正志の指名により録音した「PianoCollectionsFINALFANTASY」やイタリアLIMENレーベルよりリリースした「ブルクミュラー練習曲全集」のDVDによっても、世界中のファンに親しまれている。 2014年アメリカのオドラデクレーベルより「火の鳥」~20世紀音楽ピアノのための編曲集リリース。イギリスBBCミュージックマガジンにて五つ星、レコード芸術誌にて特選盤に選ばれる。「東京現音計画」メンバーとしてサントリー芸術財団第13回佐治敬三賞受賞。ミラノ在住。ht t p:// k u r o a k i. n e t 公式サイト・クロアキネット 以前の記事
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