月刊ショパン 2004年4月号 ニンニクと玉ねぎ

e0056670_735773.jpgみなさん、お変わりありませんか。ただ今、我が家にはイタリアからの友人がホームステイ中で、私は毎日イタリア語と奮闘中。その彼女は何でもよく食べてくれて助かるのですが、ニンニクも玉ねぎも全くダメ、というイタリア人が、なぜか周りに多くて、一体どうやってイタリアで暮らせるのか、不思議に思ってしまいます。そのうちの一人は、わたしの恩師のメッツェーナ先生。ちょうど今来日中で、この文章を読んでくださっている方のなかにも、今回の先生のコンサート、聴きにゆかれた方もいるかもしれませんね。日本各地での演奏会もマスターコースもとても素晴らしく、同行していて大変楽しい日々でしたが、とにかく先生はニンニクと玉ねぎがお嫌い。日本滞在中も、イタリアンレストランに入るたびに「ニンニクと玉ねぎを抜いて調理してください」と言い続けなければなりません。これらがベースになっているイタリア料理ですから、毎回驚かれてしまいます。
もう一人は、ちょうどこの文章が書店に並ぶ頃に発売予定のわたしの新しいアルバムで、ELPの「タルカス」を現代音楽スパイスで編曲してくれた友人のピサーティ。彼もまったくニンニクと玉ねぎが生理的に受け付けないそうで、数年前日本に数ヶ月滞在したとき、最初に覚えた日本語が「ニンニク、タマネギ、ダメデス」だったとかで、周りからさんざん笑われたそうです。その彼、最近、ペルー生まれのかわいらしい姉弟を養子にしたのですが、何しろペルー人ですから、ニンニク、玉ねぎ大好き。一体どういうことになるのか友人一同興味津々でしたが、結局家では相変わらずニンニクも玉ねぎもご法度。でも、子どもたちは学校の給食で喜んで食べてくるので、帰ってくるなり、「パパ、ほらほら玉ねぎだよ、ハアー」と息をはきかけては、大喜びしているそう。わたしですか?わたしは雑食。基本的に何でも食べます。それが落とし穴なんですけれど。ニンニク、玉ねぎ抜きの珍妙なイタリア仕込みのスパイスたっぷりのわたしの新しいアルバム、よかったら聴いてみてくださいね。
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# by kuroakinet | 2006-02-07 07:00 | 月刊ショパン

月刊ショパン 2004年3月号 ヴェニスの春風

e0056670_7253883.jpgみなさん、お変わりありませんか。この原稿が読まれるころは、日本も今よりずっと暖かくなっていることでしょう。夏生まれのせいか、わたしは寒さが苦手で、寝室の窓には、イタリア暮らしのマネをして、“サラミ”が置いてあります。“サラミ”とは直径10センチほど、長さ1メートル半ほどの、棒状をした布の詰め物のこと。イタリアでは、冬になるとこれを窓やドアの下に敷いて、すきま風を防ぐのです。なかなかの優れもので、すきま風だけでなく、布の厚さで冷気そのものを遮断してくれるので、部屋の保温にはとても役立ちます。なんと言うの、と尋ねたら、「ああ、“サラミ”のことだね」。
 北イタリアも、今ごろが一年でもっとも寒さが厳しい時期。「冬のヴェニス」と言えば、この寒さで、海に乳白色の美しい霧がたちのぼる幻想的な印象ですが、そのベニスから、もうすぐ、大切な友人がヴェネトのおいしいワインと“最高級のサラミ”をたずさえて(税関で没収されてしまうかしら)、日本を訪ねてくれることになりました。まだ18歳のグロリアは、とてもチャーミングなピアニストの卵。大学では数学を学んでいます。ヨーロッパでは、わたしたちのようなピアノ一辺倒の人生は人気がないそうで、音楽院でピアノを弾きながら別の大学にも通って、音楽以外の勉強にも励むのがごく当り前なのです。ですから、音楽家はみなさん幅ひろい知識をもっているし、音楽を職業に選ばなくとも、音楽は文化の深い部分にしみとおっていって、良い聴き手を育くむことになるのでしょう。
 せっかく大切な友人が来日するので、彼女と同じ世代のピアニストにも声をかけて、ちょっとしたガラ・コンサートをひらくことにしました。もちろん、わたしも自分のピアノで歓迎します。きっと、グロリアはとびきり新鮮なヴェニスの空気を吹き込んでくれるに違いありません。もうすぐ、とっておきの春が、一足先に巡ってきます。
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# by kuroakinet | 2006-02-05 06:57 | 月刊ショパン

月刊ショパン  2004年2月号 アドリア海の青

e0056670_5345551.jpg皆さんはどんな一ヶ月をお過ごしでしたか。この季節、学生のみなさんは受験勉強、練習などに追われたりしているころではないでしょうか。そんな時、とかく気持ちが硬くなってしまいがちですが、どうか音楽の喜びをめいっぱい振りまいて乗りこえてくださいね。
かくいうわたしも、今から5年ほど前、しゃにむに続けていた演奏活動に、転機が訪れたことがあります。チェロの藤原真理さんにお誘いをうけ、イタリアの音楽祭に参加して、美しいガルダ湖のほとりで出会ったのが、ブルーノ・メッツェーナ先生でした。大学時代から憧れていたミケランジェリの響きやペダルのゆらめきが、高弟だったメッツェーナ先生の手から見事に紡ぎだされるのに、ただ、ため息が出るばかりでした。流行など一向に無関心で、仙人のように穏やかなレッスンを受けるうち、いつしか、一からやり直したい気持ちにとらわれていました。
ガルダの音楽祭で知り合い、後に大切な友人となったのが、もう一人のマリさん。ジュリアード音楽院を卒業して、ニューヨークで演奏活動をしていたのに、メッツェーナ先生の音楽に魅了され、南イタリアの海辺の街ぺスカ-ラに移り住んでしまった、意志の強い、それでいてチャーミングな女性です。あの夏以降、数カ月おきにぺスカ-ラを訪れては、マリさん宅にお世話になりながら、メッツェーナ先生のレッスンを受けることになりました。陽が暮れると、テラスで目の前の大きな月を仰ぎながら、お互いの風変わりな人生に赤ワインで乾杯しました。そうして、いつしかイタリアに縁が深くなり、ミラノに住みつくまでになってしまったのです。ミラノからペスカーラまで、電車で6時間ほど。車窓いっぱいにひろがる、真っ青のアドリア海をながめていると、初めてイタリアで先生や新しい友達に出会ったころの新鮮なときめきを思い出します。あの、ガルダ湖にそびえていた絶壁も、うつくしい蒼に映えていました。
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# by kuroakinet | 2006-02-04 05:10 | 月刊ショパン

「月刊ショパン連載・クロアキのつぶやき」  ブログ版開始

・・・ということで、みなさんからのリクエストにお応えして、このブログで、「月刊ショパン連載・クロアキのつぶやき」24回分をがんがんアップしていきますね!


e0056670_1125514.jpg月刊ショパン  2004年1月号   Buon Anno!
明けましておめでとうございます。今回から一年間、12回にわたって、この「クロアキのつぶやき」のコーナーを書かせて頂くことになりました。
 わたしは、東京とミラノを行ったり来たりしているのですが、その中でのいろいろな出会いや感じたことなど、折に触れてつづってゆけたら、と思っています。こうしたイタリアと日本との二重生活をはじめてもう3年近くになり、お互いの文化の違いについて、少し自分の言葉でお話することも出来るようになった気がします。もちろん、東京でのわたしの生活のまわりにも、愉快な仲間がたくさんいます。どういうわけか、わたしの秘書役になってしまったOさんとの珍道中や、昔から慕ってくれていて、今はすっかり素敵なレディー、留学間近のCちゃんや(この記事が載るころには、もう機中の人かしら)、なぜかとび職をやめて私のレッスンを受けはじめたSくんやら、大阪でお姉さん役をしてくれるTさん、まあ日本の生活だけでもお話が尽きることはなさそうです。クラシックの仲間だけでなく、いろいろなジャンルの友達とのコラボレーションなども、ご紹介したいです。
  イタリアでの友人のお話もぜひ聞いていただきたいですね。ニューヨークでのスリリングな生活を脱ぎ捨てて、南イタリアの海辺の街、ペスカーラに移住してしまった個性的なピアニストAさんや、敬愛する恩師メッツェーナ先生との、わたしのとんちんかんなイタリア語を通してのやりとり。また、ミラノで練習場を提供してくれているM夫妻の素敵なお宅、先日一緒にCDを録音した作曲家P氏や指揮者Y氏のミラノ気質、毎朝コーヒーを飲みにゆく近くのバール、美味しい店や素敵なブティックなどについてもあれこれ書いてみたいと思っています。さて、まずは何からお話ししましょうか。お話したいことがありすぎて、迷ってしまいます。こんな、わたくしではありますが、どうかよろしくお付き合いください。
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# by kuroakinet | 2006-02-03 00:00 | 月刊ショパン

ブログ版クロアキのつぶやき 2006年1月号

クロアキネットで連載している「つぶやき」ですが、
こちらにもブログ版として、掲載することにしました。
これからよろしくお願いします!
コメントは、元祖クロアキネットの掲示板のほうまで、お願いします。
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みなさん、お久しぶりです。お元気ですか?
日本も少しは暖かくなったのかな?

東京も凄い雪だったようですが、ミラノも先週、25年ぶりという大雪が降りました。
生後10か月の息子は、空を仰ぎ見ては大興奮、冷たい雪を触っては大はしゃぎでした。
知人が貸してくれたアウトドア用の頑丈なバギーがここに来て大活躍。
雪の中も雪解けの泥の中もなんのその、頑丈なタイヤが雪をかき分けどんどん進むので、
なんとなーく私まで得意な気分。

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さてさて、昨年まで二年間続いた「月刊ショパン」連載の「クロアキのつぶやき」ですが、
12月で最終回を迎えました。毎月楽しみに読んでくださった皆さん、有難う!
最初は1年の連載の予定だったのが、好評につき2年に延長したのですが、
連載最初の原稿を書いたときには、まさか連載中に息子を出産することに
なろうとは思いもしませんでした
各地のコンサートで「ショパンの連載読んでます!」って言われると、本当に嬉しかったし、
この二年間の連載のおかげで、初対面の人からも「クロアキーー」と呼ばれることが
多くなった気がします。編集部のAさん、二年間有難う。

先日帰国した折に、Aさんと「連載終了お疲れさま晩餐会」をしました。
そのときに、2年間の原稿をまとめてクロアキネットに掲載することを了解してもらったので、
近いうちにここで全部公開します。24回分のつぶやき、お楽しみに。

つぶやきは月刊ショパンから本家クロアキネットに戻って続行します。

2月はローマのコンサート、そして春の日本でのリサイタルに向けて
いろいろと書きたいことがあります。
それはまた改めて!


ちゃお!
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# by kuroakinet | 2006-01-31 23:39